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コマあれこれ

T&Fのシンボルマークになっているコマ。最古のコマは、エジプトで発掘されたもので、紀元前1500年頃のものと考えられています。コマの語源は諸説あるようですが、中国の唐から朝鮮半島「高麗(こま)」を渡ってきたものだから、というものが、そのひとつ。また、900年代のはじめ、平安時代中期につくられた辞書『和名抄(わみょうしょう)』に「古末都玖利(こまつぐり)」とあるのが、日本でもっとも古い記録です。「都玖利(つぐり)」とはコマ本来の呼び名で、円(つぶら)を意味しています。これらがいつの間にか省略されて「古末(こま)」になったのではないか、という説もあるようです。
古代のコマは、宮廷の儀式として吉凶占いに用いられることがほとんどだったのですが、神儀性が薄れたコマが、だんだん貴族階級の大人の遊びとなりました。実際に庶民のこどもたちの手に入るようになったのは、時代が下った江戸時代になってから。江戸時代のコマは、無性独楽(むしょうごま)と言われ、貝をロープでたたいて回すものでした。これが、のちのベーゴマ(バイ貝のコマ)です。
工業デザイナーのチャールズ&レイ・イームズが制作した、1969年制作のショートフィルム『Tops』(英語でコマは“Spinning Top”または“Top”)には、実にさまざまなコマの共演・乱舞が記録されていて、エンディングも印象的!世界中でコマが愛されているのが分かります。思えば、自転と公転を繰り返すこの地球も大きなコマのようなものだ、と考えるのは大袈裟でしょうか。
クリスマスシーズン真っ盛りですが、それを過ぎればすぐにお正月。大空に高く舞い上がる凧と並んで、お正月のコマは「想いを貫く」「お金が回る」という意味の縁起物です。T&Fオリジナルのコマもあります。ぜひこの機会に、回してみるのはいかがでしょう。


北海道にある木工芸笹原の志賀潔さんが、旋盤と鑿(のみ)1本でつくるT&Fオリジナルのコマ。とてもよく回ります!