紙にも「目」があるのをご存知でしょうか。
紙を持ったときに柔らかく曲がる方向と、そうでない方向とあります。あれが「紙目」で、紙の原料であるパルプ繊維の流れ目のことです。その方向に沿って紙が折れやすく(加工面から言うと「折りやすく」)なっています。逆に、流れ目に対して直角方向は折れにくいということになります。紙を逆目で折ると、うまく折れずに曲がってしまったり、表面層が割れたりするのは、これが原因。紙は湿気のある場所では紙目の方向に沿って反るので、普段は見えない紙目を可視化することができます。また、そうした性質を利用することで、ステーショナリーを機能的に使いやすくすることが可能です。たとえば、ノートは紙目を縦方向に設計することで、ページがめくりやすくなります。便箋なら横方向に取ることで、二つ折りしやすくなります。強度・剛性を保つ必要があるもの、たとえば便箋の台紙は(たわんでお辞儀しないように)縦方向に紙目を取っています。
なぜこうした目ができるのかは、抄紙※プロセスを想像すればご理解いただけます。まず、原材料であるパルプ(広葉樹由来のもので繊維長が約1mm)が大量の水で攪拌された状態から、だんだんと薄く平らにされていく過程で、揺らされ引っ張られることで繊維の方向が揃う、という現象です。振動と慣性法則によって繊維がきれいに並ぶわけです。表面処理や乾燥工程を経て、一旦巨大なロール状に巻かれたものをカットしてはじめて原紙の状態(枚葉紙)になります。このとき紙の長手方向に目を取った紙をタテ目(T目)、短手方向をヨコ目(Y目)と呼んでいます。
※紙をつくること。機械でつくるときは「抄く」、手でつくるときは「漉く」、と漢字も使い分けます。
神社仏閣をつくる宮大工は、木目や年輪を見て木のクセを解読し、それを適材適所に利用します。木が乾燥したり反ったりすることを見越して木組みを考えることで、全体として強靭な構造にしたり、逆に揺らぎのある免震構造にしたりするそう。大袈裟ですけれど、紙を使ってステーショナリーをつくることも、宮大工と共通する部分があるようです。
目に見えない紙目をちょっと意識してみると面白いと思います。
Write the world!
紙のこと その1
紙のこと その2
T&Fが大切にしている素材については、こちらもご覧ください。
https://www.touch-and-flow.jp/wp/about/product/


